女のいない男たち
久しぶりのハルキでした。
出たときからタイトルだけで読むって決めていました。
わりと早く文庫化されて、わりと早く読むことができた。
男と女は哀しい。どこまでいっても哀しい。
深く愛した女がいる男は、「女のいない男たち」になる。 らしい。
あるいはまた、彼はすべての自由を取り上げられ、その結果シェエラザードばかりか、あらゆる女から遠ざけられてしまうことになるかもしれない。その可能性も大きい。そうなれば、もう二度と彼女たちの湿った身体の奥に入ることもできなくなってしまう。その身体の微妙な震えを感じ取ることもできなくなる。
しかし羽原にとって何よりつらいのは、性行為そのものよりはむしろ、彼女たちと親密な時間を共有することができなくなってしまうことかもしれない。女を失うというのは結局のところそういうことなのだ。現実に組み込まれていながら、それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間、それが女たちの提供してくれるものだった。(シェエラザードより)
*ある日突然、あなたは女のいない男たちになる。その日はほんのわずかな予告もヒントも与えられず、予感の虫の知らせもなく、ノックも咳払いも抜きで、出し抜けにあなたのもとを訪れる。ひとつの角を曲がる、自分が既にそこにあることがあなたにはわかる。
*女のいない男たちがどれくらい切ないことなのか、心痛むことなのか、それは女のいない男たちにしか理解できない。素敵な西風を失うこと。十四歳を永遠にー
*女のいない男たちになるのはとても簡単なことだ。一人の女性を深く愛し、それから彼女がどこかに去ってしまえばいいのだ。(女のいない男たちより)
きっと、そうなのだろうなあ。と思う。
僕自身かれこれ6年ほど「女のいない男たち」なのだ。
この物語の根底に流れる切なさをいやでも感じ取ってしまう。